5月27日(土)/ 雨

前回、田久保雅己氏の著書『海からのメッセージ』に触発された、あの微熱的な海への想いを書きました。それは、懐かしくも未だに騒がしく私の内面に波立つように秘められた情熱でした。
先日、その『手紙』を読んでくれた知人が、新聞の告知欄に載っていたボランティアの募集を知らせてくれました。
それは、障害者、高齢者、未体験者にヨットの楽しさを味わっていただこうという活動を江ノ島ヨットクラブの内部グループである[セーラビリティー江ノ島]がやっているというもので、ヨットに乗ってみたいという方といっしょに、その方々をお世話する経験者のボランティアを募るものでした。
世界周航の夢半ばにしてオーストラリアでヨットをリタイアし、帰国して以来、積極的な何の活動もしていなかった私に、その知人が、まだまだ世間のお役に立つ方途があるじゃないかと叱咤激励してくださった訳です。老け込むにはまだ早い、かといって、ノコノコ出しゃばって行くべき活動の場もないという私にとって、これは正に渡りに舟の情報でした。
早速、所定の日時に江ノ島女性センターの会議室へ出掛けてみました。
代表の松本富士也氏(かつてのオリンピック日本代表選手)に会い、互いに面識はないものの、狭いヨット界ではまるで旧知の間柄のように話が弾み、セイラビリティー江ノ島の会員としてお手伝いすることになりました。
主催者も驚いていましたが、障害者10名、高齢者10名、経験者(ボランティア)10名の計30名ほどを見込んでいたのに、当日会場には50名近くもの参加希望者が集まっていました。なかなかヨットに乗る機会はないものの、多くの方々が一度は乗ってみたいという願望をお持ちであることを知って心強く感じました。

さて、予め定められた第三水曜日、参加を勧めてくれた知人(私の家族会員として入会させていただいた)を伴ってマリーナへ出掛けました。
当日、松本氏は居ませんでしたが、多くのボランティアのメンバーたちが甲斐甲斐しく乗艇希望者のお世話をしていました。その方々に指示を頂き、着岸や離岸、儀装などを手伝っていると、いつの間にか海と私との結びつきの糸目が見えてきます。何だか、久し振りに古巣に帰って来たような安堵感があるのです。あゝ、やっぱり参加してみて好かった!思わず、勧めてくれた知人に感謝の言葉を呟いていました。
ヨットは、オーストラリアで開発されたユニヴァーサル・デザインのアクセス・ディンギーという艇種で、例え両手が使えない障害者の方でも僅かな儀装の工夫で乗艇できるという安全なものです。非常に重いセンターボードと両舷の大きな浮力で、ほとんど転覆は考えられないという設計です。
私は、小型ヨットからは随分縁遠い所にいたので知りませんでしたが、このクラスの世界選手権もあるそうで、ボランティアの中には日本代表選手の方もおりました。
初日は陸からのサポートだけでしたが、2度目の日は、レスキューボートで5艘のヨットの安全を確保するためにその周りを走り回ったり、初心者の方を乗せてセーリングのコーチをしたり・・・お世話をする側なのに、自分が海を満喫して楽しんでいました。
帰宅して温かいシャワーを浴びると、それほど強い陽射しがなくても潮焼けした肌がピリピリと快い反応をします。あゝ、この感覚も随分昔に忘れかけていた感覚です。
これからは時々海へ出掛け、心身ともに海にまみれ、ヨットを体験したいと望まれる方々に、ヨットの楽しさ、そして、海が惜しみなく私たちに与えてくれる楽しく壮大な夢を分け与えるお手伝いをしたいと考えております。

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