9月27日(月)/雨・25℃
めっきり秋めいてきました。ひんやりとした早朝の空気や暑過ぎた今年の夏の
塵を洗い流す秋雨、そして涼やかな虫の音・・・・そういえば、先日のTVで
云っていましたが、都会にはいま「あおまつむし」が大量発生しているそうで
すね。
それは台湾から移入した種で、在来種の松虫とは異なります。その肝心な虫の
音ですが、コオロギや他の秋の虫が3〜4kHzなのに対し,「あおまつむし」は
約5kHzなんだそうです。ですから、その音が甲高く,他の虫の音を覆い尽くし
て聞こえなくするばかりか、人間の聴覚にも金属音に近くて癒しの音とはなら
ないのだそうです。
幸いにも藤沢市のこの辺りには、「あおまつむし」はいないようで、毎晩、在
来種のコオロギの音を聞きながら、深まり行く秋を楽しんでいます。
『西久保隆作品集』に挿絵を付けるようになってから、随分多くの方々から反
響がありました。概ね好評のようで、イラストを描く手にも力が入ります。
今日アップロードしたばかりの『薪能の女』の挿絵は、冒頭に小面を配した写
真を使いました。この写真は、1970年半ば頃にAPA(日本広告写真家協会)の
会員作品として撮影したフォト・エッセーの一枚です。数枚の連作でしたが、
この一枚を残し、他は散失してしまいました。
この写真は、ある種の情念をモチーフとしたものですが、特筆すべき点はその
芸術性よりも4重露光という撮影テクニックです。そこに発生するフィルムの
重層構造と光の透過率がもたらす光学的矛盾は、膨大な計算式となって私を苦
しめたことを記憶しています。ある種、究極の写真とは、意外にも高等数学で
撮影されるものなのです。
さらに、本文後半に掲載された2点のイラスト(能面の般若と狩衣)は、なんと
私が25歳、1962年の作品です。これらは、当時、商業デザイナーの第一線への
登竜門といわれた日本宣伝美術会(日宣美)のコンペティションに出品されて奨
励賞をいただいた思い出の作品です。
他の挿絵は、全て新しく描いたものです。
かつて私が商業デザインの現役作家であった頃、クリエィターには巨大な机が
必要不可欠でした。何故なら、制作に要する膨大な資料として、百科事典や図
鑑、そのために撮影してきた写真や関連雑誌などを広げるためです。
ところが、今、私は、それらの資料を簡単にインターネットから得ることが出
来、机の上は整然としています。挿絵を描いてみて、こんなところにも、しみ
じみとした隔世の感があります。
これからも、さらに多くの挿絵を描いてゆきます。どうぞご期待ください。
作品に挿絵が入ると、雰囲気も違ってきますね。さすがプロのイラストレーター。究極の写真と高等数学・・・難しいんですね。素敵な絵が増えるのを楽しみにしています。
コメント by wako — 2004/9/28 火曜日 @ 8:20:49