5月23日(月)/晴れ・25℃
暫く、体調を崩していました。風邪がなかなか治らず、肺炎一歩手前まで悪化させてしまいました。
しかし、お陰様で先週末辺りから少しずつ復調しています。
そんな訳で、畑下さんサポートも、ほとんど今給黎さんたちに任せっ放しでご迷惑をかけてきました。
そもそもは、広島での講演のついでに三崎に畑下さんの様子を見に来たはずのきゅうりたちでしたが、GWはおろか、もうすぐ6月という今もまだ頑張ってくれています。
それにしても、船の修理も大方終わりに近づき、一方、畑下さんのヴィザの期限も目の前に迫ってきた昨今、ご本人の決断が緊急の課題になってきております。
健康面からいって、私は航海の継続には100%反対です。
畑下さんも、ご自分の健康状態では航海は難しいと感じています。しかし、反面、何とかヨットでアメリカへ帰りたいという淡い期待も捨てきれずにいます。つまり、畑下さんの胸の内で、気持が全く逆の方向に真っ二つに割れています。
ヨットを日本で売却してアメリカへ帰り、新たに少し小型のヨットを手に入れてサンディエゴ・ベイのマリーナ暮らしをするのも一策です。或いは、日本国籍を復活させて三崎か故郷の和歌山で暮らすという手もあります。
しかし、畑下さんの場合、そういう安易な道を選ぶことに忸怩たる想いがあるようです。もう一度ヨットで太平洋を渡りたいという夢は、何も彼の頑迷な意地でも何でもありません。それにもう一つ、口には言いませんが、これが海と関わる最後の機会だという想いもあるのでしょう。
健康面では、ご本人も無理と承知していますが、そのために海で果てても後悔はないという覚悟があります。それは、私が航海に出た時にも私の内にあった覚悟なのでよく分かります。そのように覚悟されてしまうと、周囲がどう説得しようと歯が立ちません。
確かに、航海というものは自己責任の極みです。何も大袈裟に航海といわぬまでも、ちょっと沖までセーリングするにしたって、ヨット、または海というものは命懸けです。その延長が太平洋横断ですから、「海で果てるなら本望」という覚悟があるなら、今さら何をかいわんやです。
しかし、全てをニュートラルに置いて見れば、10に一つの可能性を信じて太平洋横断に踏み切ることに賛成は出来ません。先日、畑下さんにも申し上げたことですが、10に九つは人様に迷惑が掛かることなのですから。畑下さんも、他人に迷惑を掛けることは本意ではないと仰っていました。
ところが、周囲が口を揃えて「航海反対!」と叫ぶと、今まで述べてきたような諸々の想いが働いて、「イヤ、何が何でもヨットでアメリカへ帰る!」と言い張ることになります。しかも、水面に浮かんだMIYAのその見事な船影に人々が賞賛の声を上げ、「このヨットでアメリカへ行くのですか?」などと声を掛けると「オー、6月には出航するぞォ~!」と畑下さんは張り切ってしまう訳です。そうこうするうちにヴィザの滞在期限も終わりに近づき、加えて、どうにか航行できる状態にヨットが仕上がってくると、行き掛かりで畑下さんも出航せざるを得なくなってしまいます。反対されればされるほど、畑下さんは引くに引かれぬ状態に追い込まれて行きます。
日本へ来る時は、奥様のご遺骨を故国に運ぶという使命があり、それが航海を続ける気力になりました。しかし、お役目を果たした今、どこに気力を求めることが出来るでしょう。気力は健康や使命感から湧いてきます。しかし、健康は決して良好ではありません。目的も、使命も、健康も、何もかも充実しない状態では、航海は困難を極めることは明らかです。
ところが、これも畑下さんと話し合ったことですが、ご自身は全部、何もかも承知されています。そこが最も困ったところなのです。
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